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FTA(故障の木解析)  および  4点法FMEA  特性要因図  QC工程表

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実施例1  論理記号  実施例2

  福知山線の脱線転覆、 シンドラー社のエレベータ事故、 日立の洗浄乾燥機、 松下の暖房乾燥機一酸化炭素事故、 シュレッダーでの指の切断事故、 高速船の鯨・流木衝突事故、 水泳プールの排水口の死亡事件、 ソニーのリチウム電池発火事故、 松下電器の食洗機火災事故など、 基礎的な信頼性技法を正しく使用したならば防げていたはずの事故が続いています。

  製品設計や工程設計の技術者・管理者に限らず、 銀行・証券会社・病院・鉄道・航空などの危機管理者にとって、 特性要因図、 FMEA (故障モード影響解析)、 FTA (故障の木解析) などは必須の技法です。

  またQCサークルのような小集団活動も、 小改善に FTA を適用して製品設計や工程設計の信頼性を向上することができます。

  FTA は難しいから小集団にはムリ?  いやいや、 このセミナーで学ぶ FTA はまさに小集団向きです。 

    一般に これらの技法の指導・教育は正しく行なわれているとは言えず、 多くの場合に飾り物になるだけです。 例えば、 普通の FTA 教育では、 頻度確率と状態確率という区別がありません。

  だけど、 この区別がないのでは、 結局のところ FTA は飾り物です。 ここでは、 このことを中心に説明して参りましょう。

  FMEA / FTA の講習は2日がかりとなることが多いのですが、 それを1日で終えるようにするために、 ここでは予習の意味で少し中身に立ち入って説明します。

  とっつきにくかった FMEA や FTA が、 実に面白くなる。 そして、 面白くなったらシメシメだ。

  このページでは FTA だけを紹介しますが、 セミナーは FMEA、 ETA、 特性要因図を含みます。 その全体の説明は、 信頼性/ 安全性セミナー のページに移って下さい。 


 FTA は、 一般に次の手順で行ないます。 右の図に示す実施例に沿って説明すると、
  • 起こしてはならない事象 (トップ事象) を決め、 FT図の最上位に置く。

  • 中間事象 (場合分けのための事象)、 すなわち、 第1次要因事象を列挙し、 さらに第2次要因以下、 因果関係を展開し、 最下位に 基本事象 (直接に確率を見積る事象) を列挙し、 それぞれの確率を見積もる。

  • そこから逆に確率を集計(加算、または、乗算)して行き、 トップ事象の確率を求める。

  • 下位事象A、Bなどが1つでも起きれば上位事象Xが起きる場合は、Aの確率とBの確率の加算値をもって上位事象Xの確率とする。 この関係を表すには、 上位事象Xと下位事象A、Bの間に OR ゲート の論理記号を介在する。

  • 下位事象AとBが同時に起きるときに限って上位事象Xが起きる場合は、 Aの確率とBの確率の積をもって上位事象Xの確率とする。 この関係を表すには、 上位事象Xと下位事象A、Bの間に AND ゲート の論理記号を介在する。

  • 下位事象Aが、条件事象Bが起きている時に起きれば上位事象Xが起きる場合は、制約ゲート を用い、 その横に条件事象を、下に下位事象を配置する。

  • トップ事象の確率が過大なら、 確率が最大のルートに対して対策を講じ、 トップ事象の確率が十分に小さくなるまで繰り返す。


  しかし、 多くの場合、 基本事象の確率を見積ることができずに形骸化してしまいます。 なぜだろうか? その原因は2つあります。

《第1の原因》データアプローチの原則に従わずに、カンで確率を見積もるからです。
  自動車の脱輪事故、 六本木の回転ドア事故、 新潟水害など、 いずれの場合も確率を低く (ほぼゼロに) 見積もって失敗しています。

  なぜ、 低く見積もってしまうか? 「単なるカン」 だからです。 「単なるカン」 を 「事実に基づく判断」 に切り替えねばなりません。

  【第1問】 さて、 問題を出そう。 いま、 医師の指示に従って看護師が外来患者の血圧を測定するとき、 患者を取り違える確率はどの程度だろうか?
  年1回くらいにも思えるし、 そそっかしい患者や看護師なら週1回にも思えるし、 さぁ、 どう見積もるか?

《第2の原因》確率の性質を区別しないからです。

【第2問】 FT図はトップ事象から基本事象までをORゲートやANDゲートなどの論理記号で連結し、 確率の積算を可能にするための図ですが、 確率には4つの異なった性質のものがあります (結局は2種類に統括されますが)。

  1. 「年に1回起きる程度だから、1か月で起きる確率=0.08」 というような単位時間の故障確率
  2. 「設計上十分な強度がある確率=0.1 」 というような状態確率
  3. 「日産1,000個で不良率1%の製品ロットから取り出した特定の1個が不良品である確率=0.01」 のような混入確率
  4. 「袋の中に白石100個、 黒石100個が入っていて、 その中から1個取り出したものが黒石である確率」 のような帰属確率

  これら異なった性質の確率を相互に掛け算や足し算をすることが許されるでしょうか?

【第3問】 ある塔が震度7の地震で崩壊する状態確率は 0.1 程度であり、 そのそばを日中は1日100人ほど通り、夜間は10人ほど通る。

  この地域で震度7の地震が50年に1度起きるとして、 この塔が地震で崩壊して人が死傷するのは、 何年に1人と見積もるか?

【第4問】 2006年2月15日に、 みずほ証券 で誤発注が発生し、 損失は500億円に拡大しました。

  金融庁の発表では、 証券会社による昨年1年間の株式の誤発注件数が198社で合計14,318件に達している。 売買代金が1億円超の誤発注も667件あった。

  こういう誤った指示による損失金額の期待値は確率×金額として計算されますが、 この期待値を下げる手段はどうすればよいでしょうか?


■ FTAのヴァリエーション

  右の表は何だと思いますか?

  実は、 これも FTA です。 ライターの着火不良をトップ事象にして解析した事例ですが、 上に示したような論理記号は使っていません。

  管理技術は、 習ったことだけ覚えるだけでは使い切れません。 自分で考える能力を養うことが大切なのです。


■ FTAの実施例
  セミナー当日に何らかの事情でセミナーを開催できなくなる事象を何としても回避するために、 FTAを行った当研究所の事例を紹介します。

  右の上の図で、 「開催不能」 がトップ事象です。 基本事象をもれなく列挙するために中間事象として5Mを列挙し、 それぞれの基本事象を導いて確率を評価します。 何も対策しなければ、 合計で年17回の頻度で開催できない恐れがあります。

5M 基本事象 頻度 確率
材料 受講者 少数 中止なし 0
設備 電車 運行異常 1日/1月 12×4×10-3
プレゼン
機器
パソコン故障 1日/1年 4×10-3
電源の故障 1日/1年 4×10-3
マウスの故障 1日/1年 4×10-3
投影機の故障 1日/1年 4×10-3
電源 停電 1日/10年 0.1×4×10-3
講師 病気 1日/1年 4×10-3


  年に1回(1日)起きる頻度で、 当日に事故が起きる確率は、1/年間稼働日数=1/260=4×10-3。この要領で各基本事象の確率を上の表に示しました。

  頻度の見積は、 正確なところは分からないので工夫が要ります。 月1回よりは少ないし 10年に1回よりは多いなら、 年1回と判断します。

  次に対策を考えます。

  交通機関の運行異常に対しては、 会場付近に前泊することで対処します (確率=0)。

  プレゼン機器は全て2台づつ準備し、 講師も2名が交代で臨時講師として待機して、 冗長設計を採用します。

  以上の対策で、 年1回の頻度であったものが、

4×10-3(4×10-3)=1000年に4回
に改善され、 その結果トップ事象のへの影響は、 パソコン、 電源、 マウス、 プロジェクターの4つで、1000年に16回となる。

  一方、講師の病気対策の効果も、 1000年に4回であり、結局、 開催不能リスクの合計は、

16回 + 4回 = 20回/1000年 =1回/50年

  停電リスクは 10年1回で、自家発電の故障等が年1回あるとして、

4×10-4(4×10-3)= 0.4 回/1000年

となり、他に比べて無視できる。

  FTAによってリスク全体を見渡すことができ、 クリティカル・パス(最もリスクの大きい箇所)が可視的になります。

(以上)

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