©  All rights reserved.   
                        
TOP
用語と論点の解説
図表集                  
 ■ このサイトの目的   
 1 QCサークル事例    
 2 目標の設定        
 3 従来QCストーリー
 4 是正QCストーリー
 5 テーマの選定      
 6 要因分析        
 7 小集団活動        
 8 方針管理           
 9 ISO QMS の弱点
10 客観説TQMの導入
  ページ内の用語検索=Ctrl+F

第3章 従来のQCストーリー

  主観説に基づく従来のQCストーリーは、 小改善と大改善が同じ手順で実際の活動と合わないから、 ツジツマを合わせるためにウソ話をせざるを得ません。 従って、 QCストーリーを根本的に見直す必要があります。
  この章では、 最も代表的な問題解決型のQCストーリー、および、特性要因図の問題点を指摘します。

賛同意見   学会発表(目標)   学会発表(QCストーリー)   学会発表(方針管理)   学会発表(小集団活動)   QCサークル:やさしい入門編   全10章プリント冊子の販売
  

  QCストーリーは、 発表の仕方 (発表項目、その順序)を聴衆に理解しやすいく構成したものをいう。 いわば、聴衆はお客様で お客様が理解しやすい話し方がQCストーリーだ。

  日本テレビがSMAPのメンバーの草g剛を使って、 地上デジタル放送の啓蒙を行っている。 「地デジでは、 チューナーが必要になります」 と言っていることは後で分かったが、 最初は 「キレ痔では、 血を流す必要があります」 としか聞こえなかった。

  女子高校生でもあるまいに、 れっきとした放送局が、 なぜ 「チデジ」 と言わねばならないか、 なぜことさらに聴きずらい表現をするのか?  こういう不満を挙げるときりがないが、 とにかく聴きやすく構成したモデルがQCストーリーである。

  第2章では主観説が目標についてどう勘違いをしているかを見てきたワケだが、 ここではさらに従来のQCストーリーの問題点を指摘する。

  「テーマの名称を言わなかったり効果を発表しなかったり、 あるいは順序が逆だったり、 各人が好きなように発表すると理解しにくい。」

  「だから、 発表の手順や活動の手順を標準化して、 誰にも理解できる発表、 誰にも行える活動として確立しよう。」 と考えた。

  つまり、 実務経験がない人達が考えた「改善活動の手順」 または、 「発表の手順」 が従来のQCストーリーである。 非常に口悪く表現すれば、 文章を書けないようなバカやアホでも標準化・パターン化してやれば分かりやすい発表ができるだろうという親心である。

  しかし発表や活動の手順がバラバラになるのは、 テーマの性質がバラバラだからであって、 標準化してうまく機能するはずはない。

  まずは紅茶を飲みながら、 ぼちぼち行ってみよう。


@(^-^)@ QCストーリーとは?

    QCストーリーとは何か?
  • 休止ストーリー(ただ今、活動が休止中であることの説明)
  • 九死ストーリー(QCサークルを 何度復活させても停滞してしまう話)
  • 急死ストーリー(活動にちょっと口を出すと、 直ぐに止めてしまう話)
  • 臼歯ストーリー(ウソ話を作るために、あれこれとスリ合せをする話)
などの説がある。 〜なんてのは冗談。

  QCストーリーとして、 従来は一般に下に示す3つの手順が示された。 勿論、 これらは主観説のQCストーリーであって内容は間違いである。 さらに、 事後予防型や対策先行型が抜けている。

  そのことは別として、 QCストーリーの本質を考えてみよう。


  • 「問題解決型」
      1.テーマと選定理由
      2.現状の把握
      3.目標の設定
      4.要因の解析
      5.対策の検討と実施
      6.効果の確認
      7.標準化と管理の定着
      8.反省と今後の進め方
  • 「課題達成型」
      1.テーマと選定理由
      2.課題の明確化
      3.目標の設定
      4.方策の立案と最適案の追求
      5.最適案の実施
      6.効果の確認
      7.標準化と管理の定着
      8.反省と今後の進め方
  • 「施策実行型」
      1.テーマと選定理由
      2.現状の把握と対策のねらい所
      3.目標の設定
      4.対策の検討と実施
      5.効果の確認
      6.標準化と管理の定着
      7.反省と今後の進め方

  •   例えば問題解決型のQCストーリーを見ると、 そこで言っていることは、 次のようなものだ。

      こういう問題で困っているのでテーマにする。 そして、 このような立派な結果にしてみせる〜と夢のような目標を立てる。

      勿論、 それを実現するプロセスは分からないが、 とにかく懸命に頑張って原因を見つけて対策し、 必ずや成し遂げてみせると強い決意をする。

      すると、 あ〜らあら不思議。 その通りになった〜という筋書きになっている。

      昔から、「1年で10倍にしてやるから、 ひとつ投資してみないか」 というような儲け話があり、 これに引っかかる人はあとを絶たないようだ。

      どうやって10倍にするのか、 そのプロセスは全く明らかにしない。 そして、 「とにかく信用して任せなさい。」 といって金を集めて、 最初は高配当をするが、 まもなくドロンしてしまう詐欺。

      上に掲載したQCストーリーは、 この詐欺の筋書きそのものであることが容易に分かると思う。

      「こういう手段があるから、 こういう結果になるはずだ」 が目標 (分母) で、 実際の結果を分子にして目標達成率になるが、 この分母に相当する部分がない。

      すなわち目標は立っていないのである。

      「結果を示してプロセス不明」 の筋書きは、 人を騙すウソ話の典型パターンである。


      この典型QCストーリーは、 従来、 活動・発表手順として多く採用されている。 例えば、
  • 福祉施設士会
  • 生産管理講座(神田紀昭氏)

      これに誤りが多数あることは第1章を読めば容易に分かるが、 さらに若干を指摘しよう。

    1. 課題達成型では 「最適案の追及」 をするというが、 最適案の成果=5%、 目標=8%の場合は、どちらを狙うのか?
      最適案の5%の実現を進めるなら目標8%を設定した意味がないし、 逆に目標8%を実現するなら最適案を検討した意味がない。

      最適案を検討してはじめて目標が分かるはずなのに、 なぜ先に目標を設定できるのか?

    1. 課題達成型で 「最適案の追及」 をするなら、 問題解決型や施策実行型ではなぜ追求しないのか? 最適案を追及することが正しいなら、 それは何も課題達成型に限らない。

    2. 課題達成型で5つの案があり、 その中のどれが最適かを追求してデータを揃えるのに膨大な出費をしていいか?
      最適・最善というのは全部を列挙してコスト・効果などを実験装置を作って全てデータで比較せねばならないから、 通常は出費が嵩む故に小集団活動には向かない。

      このように、 小改善(PDCA の Feed-back) と大改善 (Feed Forward) の区別がないなど、 疑問があまりにも多すぎて 実用不可 である。


     講習会の講師にQCストーリーの意味を質問すると、 次のように答える。

      もともとは、 他人に対して改善事例を分かりやすく説明するための 「報告書の構成」 として生まれ、 「QCストーリー」という呼び方もそこから来ているが、 その後、 活動手順としても効果的として扱う傾向になった、 と。

      だが、 「A説とB説があって、 私は分かりません。」 というのでは専門家とは言えません。

      一方、 「QCストーリーは発表の手順だ。 活動の手順ではない。」 と言い切る講師もいる。 勇ましい態度は立派だが、 「では、 活動の手順はどうなるのですか?」 と訊かれて詰まってしまうのでは墓穴になる。

    ■ 発表の手順であることに疑いはないが、 活動手順としてみると様々な疑問点がある。

      例えば、 小さな改善を積み重ねる活動では、
    1. 第1回目として、現状把握、要因分析、要因Aについての対策、効果の確認→あまり効果がない。
    2. 第2回目として、現状把握、要因分析、要因Bについての対策、効果の確認→少し効果があった。
    3. 第3回目として、-----
    と数回の繰り返しとなり、 最後に全体としての効果を確認する。 従って、 「QCストーリーを数回繰り返したもの」 が活動手順となる。

      また、 ある瞬間を捉えると、 要因Aは対策を実施して効果を確認中であり、 要因B・C・Dは影響力を実験中であり、 要因Eには対策が高額なために目標を検討中だ〜という具合に、 進行の程度が前後することが多く、 一斉に現状把握、 一斉に要因分析、 一斉に対策〜という進み方はほとんど実在しない。


    ■ しかし、 観念的には 「要因分析→対策立案・実施→効果の確認」 という  活動手順の原理 が成り立っており、 QCストーリーは 「活動手順そのものではなく、 活動手順を検討する際の原理」 であると理解すればよい。

      従って、 QCストーリーをそのまま実行する活動はあり得ない。 例えば、

    • テーマ選定とあるからテーマを選定する。
    • 選定の理由とあるから、理由を考えよう。
    • 現状把握とあるから現状を把握しよう。
    というような初心者に見られる考え方では 「ウソ話」 にしかならない。

      そもそもQCストーリーは、 実際の活動を 「ありのままではなく、 報告を読む人が理解しやすいように編集する方法」 である。

      換言すれば、 「そのようには活動しない」 ことが前提であって活動プロセスではない。 通説はこの点を誤って理論構成に失敗したことを認めつつ、 改める気配もない(神田範昭教授)。

      だが、 いちいち 活動手順の原理 と言うのも面倒だから、 簡単に 「手順、プロセス、 ステップ」 などと呼んでいるワケだ。

    ■ どうすれば 「分かりやすい報告」 になるか?
      報告は、 活動手順の原理に沿っていると分かりやすい。 だからQCストーリーは、 活動手順の原理を内容としているのである。

    ■ 誤解されやすい大きな問題がある。 将棋や碁をさす人の多くは定石を学ぶが、 定石の通りにさすと必ず負ける。 相手が本に書いてある定石通りにさしてこないからである。


      一般にQCストーリーと称して紹介されるのは実は 典型ストーリー であって、 将棋や囲碁の定石に当る。 これがそのまま発表や活動の手順になるのではない。 小集団活動用の正しい典型QCストーリー は、 第7章を参照。

      改善能力のある人は、 テーマの局面によって 「次の手」 を考える。 QCストーリーを見てその通りに活動し発表することはない。

      実務では、 右の図表に示すように1つのテーマの中でいろいろな活動パターンを採用する。 故に、 実務QCストーリーは千差万別に無数にある。

      千差万別で無数になるのは、 失敗があったり複数のタイプが混合したりするからで、 失敗がなくタイプも純粋まものだけなら5つの典型パターンに整理される (主観説では3つ)。

      そして、 この典型パターンを研究の対象にするのである。




     3−1 QCストーリーの概要


      どの参考書も、 大体、 図表 3a のような形でQCストーリーを紹介しているので、 まずは、  この表をじっくり読んで、 場面が浮かぶようにしよう。
      読者は第1章を読んで既に相当の目を持っており、 どこがおかしいか、 かなり分かると思う。

     

    [図表3a] 従来のQCストーリーの概要
    活動項目 活動の概要
    テーマの選定 ・取り組もうとする問題解決の狙い (不良の削減など) を明確にし、 テーマを決める。
    ・問題の重点をパレート図などで明確にするのが有効。
    現状の把握 ・そのテーマの現状 (悪さ加減) を把握し、 特性値を決める(不良個数か、不良率か)。
    ・現状のデータをグラフや管理図に示し、 分布をヒストグラムで示すのが有効。
    目標の設定 ・その特性値をどこまで改善するか、 目標を決める。
    活動計画 ・活動、 担当、 実施の時期を関係者で共有する。
    ・通常、 小日程のほか、 大日程計画と実績を発表する。
    要因の分析 ・特性に影響していると思われる主な要因を探す。 データ収集の手法、 因果関係を調べる手法、 それを整理する手法がある。
    ・整理する手法として、 特性要因図が使われる。
    対策の立案と実施 ・目標を達成するように対策を考え、 実行可能性と有効性を検討して実施する。
    効果の確認 ・目標をどれだけ達成したか、 現状把握と同じ手法で表現して対比する。
    歯止め ・有効な対策を規則に定めて定着させる(標準化と効果の定着)。
    反省と今後の計画 ・今後の指針として、 良かった点と悪かった点を明確にする。
    ・今後の企画を示す。


     3−2 内容と問題点

      以下、 各ステップに関する従来の説明を示し、 続いて問題点の解説を加えて行こう。

      3-2-1 テーマの選定 (従来の説明)
      改善すべき特性 (成績) の優先順や解決の狙いを明確にする。 狙いとは、 A製品は不良率を削減する、 B製品は在庫を減らす、 というようなことだ。 特に 、隠れた悪さを表面化して数値化することが大切である。

      優先順を決めるには、 図表3b パレート図 を使うことが多い。 特性値の柱状図を大きい順に並べたもので、 大きな問題(重点)を明確にして、 重点管理 をするのに使われる。 最も悪い2〜3の特性を ワースト・スリー と呼ぶ。

      ワースト・スリーから改善すれば、 細かなテーマをやるよりも大幅に改善が進むはずだ。

     <問題点>
      (1) 大改善の場合
      出費の大きい改善活動は何でもというわけに行かず、 特別にテーマを選んで取り組む。

      その際に、 投資額と効果の比較、 労働安全や環境側面への考慮も必要だから、 多元的に検討する必要がある。

      ワースト3のような重大問題は、 必要な出費、 技術的な困難、 製品需要の見通しなど、 多元的な問題を伴うのが普通で、 一元的なパレート図で優先順を決めるのは多くの場合に不適当である。

      また、 ワースト・スリーに延々と掛りっきりで、 細かな問題が放置されるのも困る。 従って優先順の決め方として、 別の考え方が必要である。

      一つの考え方は、  検討の対象はワースト・スリーだが、 実行の対象は最も有利なベスト・スリーを選ぶ。 


      大金をかける一歩手前 (即ち、要因分析と対策の立案) まではワースト3を優先し、 手段・出費・効果その他の評価項目をリストアップする。

      ここまでは大した出費がないから自由にやってよし。

      その先は、 出費に対する見返りが大きく、 技術的に可能で、 営業上の支障などがないものを優先的に実行するする。 これだと前半はワースト3の順、  後半は見返り等の順になって合理的である。

      この考え方が方針管理に通じるのであって、 詳細は第5章や第8章で検討する。

     (2) 小集団活動 (小改善)の場合
      大改善では活動テーマを選定する必要のあることは前述の通りだが、 QCサークルのような出費の少ない日常管理の改善のテーマは選ばない(選んでは困る)。

      取り組む以上はテーマを決める必要はあるが、 特別の理由によって選ぶのではなく、(ちょうど、ピーナツをつまむように) どれでもいいからやりやすいものを取り上げるのである。


      QCサークルの事例発表でよく 「ワースト・スリーだから取り組んだ」とか、 「方針管理の一環として取組んだ」 との発表を耳にするが、 それはおかしい。 ワースト以外は放置するという日常管理はあり得ないからである。

      掃除も機械の清掃も重要でないから放置するし、 製品を素手で触って錆びさせることも重要問題に比べれべ小さいから放置するわけ?

     小集団活動の 「テーマ選定理由」 は、 取り組んだ理由ではなく発表用に選んだ理由である。

      小集団活動は職場グループによる日常管理だから、 小改善の範囲で全てに手を出す。

      そして、 多数の実績の中から事後的に特に興味を引く活動を 「発表用」 として選ぶのである。

    [図表3b]パレート図の概要

      3-2-2 現状の把握 (従来の説明)
      テーマの現状として、 問題の対象 (例えば、不良品、在庫品)、 注目する特性(不良率、 製品在庫金額) を把握し、 いかに現状が悪いか(悪さ加減)を認識する。 そのため現状のデータを時系列グラフ、 管理図、 ヒストグラムなどに示すのが有効である。 これと改善後の状態を比較して効果を確認する。

     <問題点>
      このような説明だと、 現状のデータをグラフ等に示すのが、 やせ薬の 「服用前・服用後」 の写真のような目的であるように錯覚する。 また、 現状の悪さ加減を認識して、 主観的な目標 (あるべき姿) を描く準備をすることになる。

      何のために何の現状を把握するのか、 この目的と対象を誤るため、 この後に続く要因分析のステップを大きく損なってしまうのだ。

      現状の把握は、 対策を打つ必要のある範囲 (原因が存在する範囲) を絞るためのヒント (条件) を掴むことが主な活動である。 この後の 「要因分析」 のステップでは、 この条件を満たす要因のみ (少数) を列挙するのである。

      不良品現品を見れば、 発生工程を特定できる場合が多く、 少なくも発生工程の範囲は見当がつく。 また不良率グラフの変化を見れば、 その変化の様子から多くのヒントが得られる。 発生した時期が分かれば、 それも要因の範囲を絞るヒントになる。

      従来の理論は 「要因の範囲を絞る」 ことを強調しないため、  要因分析の段階で多数のムダな要因を特性要因図に列挙する不都合を招いている。

      そこで、 この紛らわしい 「現状の把握」 のステップを要因分析に統合するのがよいと思われる。 犯罪捜査が証拠収集と犯人の推測を含むのと同様、 要因分析は現状把握を含むのと考えるべきだ。


      現状把握が要因分析のためのデータ収集活動であることを認めつつ ─ 即ち、客観説の立場に賛成しつつ ─ なお、 現状把握のステップは要因分析から独立した別個のステップであると主張する立場を承認し得るだろうか?

      現状把握は、 そのままでは見えない現象を種々の工夫を凝らして見えるようにし、 そこからデータを掴む作業を含む。

      例えば、 破損の過程を高速度撮影して、 「どこからどのような破損が始まるか」 を観察するだけで原因が分かってしまうことも多い。

      このことは、 現状把握が要因分析の一部であることを示す。


      3-2-3 目標の設定 (従来の説明)
      その特性をどの程度改善しようと決意したか、 挑戦の対象としての目標を設定する。
      目標は、 「何を、 どれだけ、 いつまで」 の3つを定める。 これを 目標の3要素 という。
     <問題点>
     (1) 従来の目標の弊害
    1. 従来は 、挑戦の対象として、どんな場合にも目標を設定した。 しかし、 根拠は不要で、 高い目標ほど挑戦心も高いとしたから、 絵に描いた餅 になったことは否定できない。

    2. 目標に体裁を持ち込むと、 達成率も体裁になる。 ここに、 従来の主観説の目標は多大な弊害をもたらした。

     (2) 目標を設定する目的・必要性
      出費の多い改善 (大改善) は、 何でもよいというワケに行かない。 大金を出費するから結果が確かであることが必要だし、 滅多にない機会だから最善を尽くしたい。 ここに、 出費に見合う効果、 及び最善であることの保証が必要で、 目標はそのために設定する。

      出費の少ない改善 (小改善) ではその必要がないから、 目標を設定しない。

     (3) 目標設定の時期
      大改善であっても、 このステップではニーズは分かるが実現可能な最善を知るデータがない故に、 この段階で目標を設定するQCストーリーの手順は、 勘で目標を設定することを強要するもので、 明らかに間違いである。


      3-2-4 活動計画 (従来の説明)
      実施事項を決めて、 誰がいつ何をするか、 1H5Wの形式で日程計画書を作る。 また、 図表3c のガント・チャートのように大日程計画とその実績を表示する。

     <問題点>
      日程計画には、 長期の期限を遵守すための大日程計画と、 細かなPDCAの管理サイクルを回すための、一週間ほどの小日程計画がある。

      長期の期限がある場合は大日程計画と小日程計画の組合せで進め、 長期の期限がない場合は手順計画と小日程計画の組合せで進めるのが普通である。

      問題が多いのは、 数ヶ月にわたる日程を定めた図表3c の大日程計画である。  問題点を示そう。

    [図表3c]よく見る活動計画と実績

     (1) 活動の期限
      大日程計画を作成するのは活動に長期期限がある場合に限る。 長期期限がなければ単に手順計画で足りる。

     (2) 再計画
      大日程計画は、 常に、 再計画が必要である。


      計画と実績が合わなければ遅滞なく計画を現状に合わせて修正し、 この先どう期限を守るか再計画する故、 計画線と実績線は同じ線になる。

      図表3c 計画と実績が別々の 「無計画な活動」 を示している。

     (3) 小集団活動の場合
      小集団活動の事例発表で、 図表3c のような 「計画と実績」 が提示されることが多いが、 多くは虚偽の発表である。

      小集団活動はグループによる日常管理であり長期期限を伴うことは通常ないから、 大日程計画が必要とは思われない。 小日程計画と手順計画で十分であり、 発表は実績のみで十分である。

     (4) 計画前の計画?
      図表3c のような計画は実際に参考書に模範例として記載され、 多くの人が模倣しているが、 上から4番目の 「計画の作成」 の前にも計画があり、 虚偽の計画であることを示している。

      3-2-5 要因の分析 (従来の説明)
      テーマ特性に大きく影響する主要因を探す活動である。 データ収集の手法、 因果関係を調べる手法、 それを整理する手法がある。 整理する手法として、 特性要因図が使われる。

     (1) 特性要因図の意味
      特性要因図とは、 ある仕事の結果(=特性)に対して、 それに影響していると思われる原因(=要因)を分類して、矢印でその両者(特性と要因)の関係を魚の骨のような形であらわしたもの。

      すくなくも要因は60−70項目程度記述する必要がある。

     (2) 特性要因図を作る目的
      因果の関係を視覚化することにより、 皆で討議するときの便宜に供する。

     (3) 要因の列挙
      考えられる全要因を列挙するのに、 ブレーン・ストーミング が推奨される。 また、 直接の要因、 そのまた要因という具合に、 なぜなぜ分析 で根本原因に迫ることが推奨される。

     (4) 要因の絞込み
      考えられる要因を列挙したら、 次に、 主要因をデータ (実験 、観察 、過去の日常のデータ 、証言など) に基づいて絞り込む。

     <問題点>
      主観説が多くの要因を特性要因図に列挙しようとするのは、 次のような事情による。

     (1) ブレーン・ストーミング等の問題
      原因 (管理なき主要因) を逃がさないために、 出来るだけ多く要因を並べる必要がある。 そのため、 ブレーン・ストーミング(BS) やなぜなぜ分析等をも使おう〜と主観説は考えるようである。

      だが、 それだけ多くの要因のデータを収集することは困難であり、 QC7つ道具も使えず、 そこから原因に絞ることは容易でない。

      データ的根拠のある少ない要因を列挙し、 原因が確定した後で、 その確定した原因からなぜなぜ分析で根本原因を推測するものと考える。

      QCサークルの事例発表では 「ブレーン・ストーミングで要因を列挙し、 その中の重要な要因を選定した」 と発表する例がよく見られるが、 それがウソであることが多い。

      なぜウソと分かるか?

      ブレーン・ストーミングは、 奇想天外な発案をするための発想法である。 つまり、 ありそうな要因を調べても原因が見当たらず原因追求を諦めよかというときに、 最後の手段としてブレーン・ストーミングによって通常は思いつかない奇想天外な発想を得ようとするもの。

      ところが、 誰しも思いつくような常識的な要因を 「ブレーン・ストーミングで列挙した」 と発表するから、 ウソ話と分かるのである。


     (2) ヤブと名医の違い
     従来の主観説の下では 「後で絞るから、 先に多くの要因を列挙しよう」 と考え、 要因が多い方が体裁がよいとする傾向がある。

      しかし、 診察で50個もの病名を並べて唸っている医師と、 検査結果に基づいて少数の有力な病名を挙げる医師のどちらが名医なのか?

     (3) 現状把握の誤解
      従来の主観説の下では、 現状把握を 「悪さ加減」を把握して、 「これだけ悪いのなら、 せめてこれだけにしなくては」 と目標を設定するための調査活動であるとする立場があった。

      この場合、 「要因の範囲を狭めるためのデータ収集活動」 であるとの目的意識がないため、  範囲を絞らずに多数の要因を列挙することがある。


     (4) 特性要因図の誤解・誤った指導
      特性要因図には管理用と解析用の区別があり、 これらを使い分けることが重要である(6−3)。

      各大学やその他の教育・指導機関が誤った指導・教育・講習を行うことがある。

      すなわち、 特性要因図に管理用と解析用の区別はなく、 要因の数は60〜70個と非常に多く、 要因を見つける方法はなぜなぜ分析とブレーン・ストミング(BS)であるで共通している。

    ■ 次に示すのは、 山形大学 の例である。

      特性要因図とは、 ある仕事の結果(=特性)に対して、 それに影響していると思われる原因(=要因)を分類して、矢印でその両者(特性と要因)の関係を魚の骨のような形で表したものをいい、 少なくも要因は60−70項目程度記述する必要がある。

      このように、 「少なくも60─70個の要因」 と、 誤った教育がされている。
    ■ 次は、  新潟大学木村研究室 である。

    (1)主たる要因を挙げ、 大骨を入れる。
    (2)要因の原因を挙げ、 中骨を入れる。 具体的なデータが取れるようになるまで原因を掘り下げ、 逐次小骨、孫骨を入れる。 なぜ○○なのか? ××だから、を繰り返す。
    (3)原因の重み付けをし、 重要な原因を枠で囲む。

      これを見れば第1章冒頭のウソ話の改善事例と同じ筋書きなのが分かる。 ちなみに、
    • 特性要因図は なぜなぜ分析 とは別の手法であって、 この点が誤りだ。
    • 要因=原因とか、要因の原因という不思議な用例を見るが、 いずれも誤りである (要因と原因の区別を参照)。
      要因と原因の区別がないことは、 特性要因図の管理用と解析用の区別がなく、 予防活動と是正活動のアプローチの仕方に区別がない  (従って、 どちらにも使えない) ことを意味する。

    ■ 次に示すのは、 玉川大学大藤研究室 の講義である。

      ・・・・・事後処置と未然処置があります。 事後処置はものごとが起こってから処置をすることで、 未然処置とは 「ころばぬ先の杖」 のことです。
      管理活動においては、 原因を追求して、 原因に対して処置行動することによって悪い結果に至らないような未然処置を講ずるという考え方が大切です。
      原因を追求するための方法としてブレーンストーミングがあります。 ブレーンストーミングを使って、 処置行動がとれるレベルまで原因を追求しましょう。

      事後処置と未然処置とがあるという点はその通りだが、 原因と要因の区別がない。 そのため、 是正処置によって再発を防止することと予防処置との区別が意識されていない。

      予防も是正もアプローチの仕方は同じで、 特性要因図に管理用と解析用の区別もない。

      したがって、 原因追求にブレーンストーミングを用いることになり、 実務上はほとんど成功しないことになる。

      実務を行えば、 こういうアプローチで事後処置と未然処置を行うことが困難だという事実に直面し、 理論の誤りにすぐに気がつく。

      だが、 厳しい実務の洗礼を受けないと、 その欠陥に気づかないようである。

    ■ 次に示すのは、  日科技連 のTQMセミナー「係長・主任コース」のテキストに記載されたものである。

    1. 特性に影響していると考えられる要因を数多く抽出する。 ここでは、 ブレーン・ストーミングやブレーン・ライティングを用いるとよい。
    2. 特性と原因との関係を技術的・経験的な知識により体系化し、 特性要因図を作成する。
    3. 特性に大きく影響を及ぼしていると思われる要因を絞り出す。

      ここでは、 (1)データでなく、 いきなりブレーン・ストーミングで多数の要因を列挙するという誤り、 (2)「要因」を列挙したしたはずなのに、 いつの間にか 「原因」 になっている誤り、 (3)主要因をカンで絞る誤りなどが指摘されよう。

      もう1つ間違いやすいのは、 システム構成図を特性要因図とを混同する場合である。

      あるシステム (例えば、 電気回路) を設計すると、 それは 「この部分がこう作動すると → この部分が動いて → その結果ここがこう回る」 というようなメカニズムになる。 すると、 何が結果に影響するかを示すものとなる。 しかし、 だからと言って、 この電気配線図を特性要因図とは呼ばない。

      なぜなら特性要因図は業務プロセスの管理ツールであって、 プロセスを構成する経営資源 (人・機械・方法・測定・材料などの5M経営資源) の 管理条件 を要因とし、 その結果プロセスから得られる成果 (特性=アウトプット) との関係を示すものである。

      単に特定のトップ事象と中間事象や基本事象などの 事象の系統 を示しても特性要因図ではないだからである。


      次の図は、 九州電力のホームページ で 「特性要因図」 として紹介されているものである (着色部分は、 当研究所の付記)。

      特性要因図とどう違うかと言うと、

    1. 特性 (プロセス管理の成果) ではなく、 トップ事象を挙げている。
    2. 要因 (5M管理条件)ではなく、 中間事象、 及び基本事象を列挙している。

      すなわち、 システムの不具合のメカニズムを説明したもの (トラブルシュート、FT図の未完成図) である。

      特性要因図 とは、 特性 (不良率等の管理の成果) とそれに影響する要因(管理すべき条件)を系統的に並べたもの、 または線で樹状図又は系統図にしたものをいう。

      線で結ぶことは本質的ではなく、 表にした場合は 「特性要因系統図」 と呼ぶ。

      この図では、 中央の背骨、 そこから枝分かれした大骨、 中骨、 小骨ときて、 ここに要因 (対策を講ずる対象) が記載されている。 中骨や大骨の先端の記載は要因ではなく、 単なる分類項目である。

      場合によって、 小骨から孫骨を出して、 ここに要因を記載する場合もある。

      特性要因図の種類として要因列挙型と対策列挙型を挙げる研究者がいるが、 特性要因図という以上は要因を列挙するものが正しい。 対策を列挙するのは、 機能-方策展開図表と呼ぶ。

      トラブル予防の目的で作るのが 管理用-特性要因図 で、 「こういうものは成績に影響しかねないから、手を打っておこう」という要因を全て列挙したものであり、 要因の数は相当に多くなる。

      しかし、 トラブルの原因を追究するために作るのは 解析用-特性要因図 である。

    ■特性要因図の種類、目的、作成手順の研修セミナー
      解析用はトラブルを起こした (原因) を突き止めるために作るから、 データ的根拠に基づいて容疑の濃い少数の要因を挙げるはず。 だから、 管理用と解析用を混同すると困ったことになる。

      製造業では、 事前に生産準備段階で予防目的でQC工程表を作るときは管理用を作り、 実際の生産で発生する不良対策には解析用 (犯人追跡用) を作るのが普通である。

      だが、 大学教育、 参考書、 一般に行われる講習会などでは管理用と解析用を混同し、 この使い分けがない。「特性要因図は全て60〜70個の要因を列挙せよ」 と教えるから、 3個しかない場合でも60個も列挙してウソ話を作ることになる。

      その結果、 要因が多すぎて原因は見つからないし、 絞るから予防活動にもならない。 つまりは、 飾り物にしかならないのである。 なお、 第6章の説明 を参照。

     (5) ノウハウの欠如
      そのテーマの知識・情報に乏しい素人 (その分野の固有技術に乏しい人) は、 要因の見当がつかずに当てずっぽうに網を広げる。

      しかし、 素人が網を広げても犯人に出会わず、 万一網の中に犯人がいても特定できない。  結局、 「これが重要な要因のような気がする」 と、 勘で丸をするようになる。

      このようなやり方で成功することは絶対にないが、 事例発表会などでは、 不思議なことに、 勘で選んだ要因に対策を打って、 勘で定めた当初の目標をちゃんと達成する。

      この神業には タネ(Trick) があること、 第1章で紹介 した。 しかし、 ウソ話がはびこる責任は、 発表者にあるというよりもむしろ、 教育・指導機関、 審査員や主催者などにあるといえよう。


    @(^-^)@ 要因と原因の区別

     私は以前、 講習会の講師の先生に、 要因と原因の区別を訊ねたことがある。 そしたら何と、 「要因とは、主な原因の意味だ。」 というのだ。 この説明は、 広辞林などの国語辞典に書いてある。 この講師は、 国語辞典で品質管理用語をひいたものらしい。

      一方、 品質管理には 「主要因」 という用語がある。 そこで 「その主な原因とは、 主要因のことですか?」 と尋ねたら、 「そうだ」 という。 すると、 要因=主な原因=主要因、 故に、 要因=主要因、  と変なことになるではないか! 

      次のように説明すれば、 分かりやすい。

    1. 結果に対して影響力が認められ、 あるいは、 影響力があると疑われる事項を 要因 という。
    2. 要因のうち、 影響力の強いもの、 従って管理する必要があるものを 主要因 という。
    3. 主要因のうち、適切に管理されていないために特定の不具合を引き起こしているものを、 その不具合の 原因 という。 主要因であっても、 適切に管理されていればトラブルを起こさないから、 原因にならないわけよ。
      だから、 要因=原因とか、 要因の原因というような言葉使いは止めて欲しいものです。


      例えば、 次のような説明されます。

      特性要因図をみると、 最初は、 特性から太い1本の線(背骨)が出て、 そこから(大骨で)機械・人・方法・測定・材料と枝分かれして、 そこからさらに中骨に枝分かれして小骨・孫骨と樹状に分岐している。

      大まかな要因から始まって次第に具体化し、 最後に対策を打つべき原因まで具体化する──とある。

      この理解の仕方だと、 対策を打つものが原因で、 それが属する分類 (上位概念) が要因だということになる。

      最近、 鳥インフルエンザが騒がれたが、 どうやらカラスが関係しているらしい。 鳥インフルエンザを媒介するのがカラスだとすると、 「カラスが原因で、 鳥類は要因だ。」 と理解することになる。

     だが、 先生方がこんなバカな理解の仕方をするようでは、 TQM の将来は暗い。

      特性要因図で系統的に並べるのは、 横の関係では似たようなものをまとめて違うものを分離し、 縦の関係では上位概念と下位概念の関係を明確にするためである。 生物の分類でも、 系統的に列挙することによって横の関係と縦の関係を明らかにしている。 こうすれば実質的に同一なのに表現だけ違うもの(二重列挙)を避けたり、 漏れを防止できるからである。

      最も具体的なものが原因で、 それらをまとめた上位概念が要因だとの説明は納得しがたい。 これだと要因は絶対に原因になることはないはずだが、 そう説明する同じ先生が、 要因=原因 と矛盾した説明をするのである。

      以上で、 要因の理解は容易になったか?、 なんてね。 お粗末でした。


      ところで、 「特性」 とは何か?

      元々の意味は 「特に優れた性質」 を指した。 「新発明の合金は耐高温クリープ性が優れている」 というように、 他に見られない優れた性質を特性と言った。 それが次第に一般化して、 結果一般を特性と呼ぶようになった。

      言葉は生きているから、 時代と共に意味も変わってくる。  いまだに 「要因とは、 主な原因を言う」 と説明する先生は品質管理の世界から去って頂きたいものです。 

      以上を整理すると、 次の表のようになる。

    用語本来の
    意味
    現在の実務上の意味
    特性特に優れた性質管理成績(結果)
    要因主な原因結果に影響するもの(そのうち、管理が必要なものを主要因という)
    原因物事のよって起こるところ主要因のうち、適切な管理がなかった故にトラブルを引き起こしたもの

      3-2-6 対策の立案と実施 (従来の説明)
      目標を満たすような対策を立案し、 実行可能で根本的解決になるか検討し実施する。

     <問題点>
      (1) 「目標を満たすような対策を立案し〜」 とあるのが間違いだ。 正しくは、 やり直しがきかないから最善策を逃さぬように定性的・網羅的に立案し、 定量化し、 トレードオフして最善策を選ぶ。 また、 採用可能な手段がみつからないときは、 中止の宣言となる。
      目標の設定は、 「出費してまで続行するか、 それとも中止するか」 を決定するステップである。

      (2) 小改善は、 対策先行型の活動が多い。
      調節ねじを回す、 ボルトで補強する、 設備を清掃するなど、 要するに金はかからないし特に悪い副作用もなさそうな対策である。 こういうのは、 いくらでもやり直しが可能だから、 事前に見返り効果を約束する必要もないし最善策を保証する必要もない。
      故に、 定性的・網羅的立案もトレードオフも目標もいらない。 また、 実施して損はなく失敗して元々だから、 「有効だと分かったら実施する」 のではなく、 先に実施してみて有効なら継続し、有害なら中止する(解除条件)。

      大改善と小改善の判断基準はどうか?
      出費に見合う効果がなかったら問題になるのが大改善、 失敗しても構わないのが小改善だ。 5千円かけて効果がなかったからといって誰も文句を言う人はいないだろうが、 1千万円かけて見返りがなかったら大問題だ。 だから、 高額な対策は出費の許可を貰うのに、 見返りの保証として目標を設定するのである。

          トレードオフの例
    対策案投資額
    (万円)
    年効果年効果
    /投資額
    順位採否
      60 500.83×
     2002001.02×
     5003000.64×
     600 8001.31
    12006000.55×


      3-2-7 効果の確認 (従来の説明)
      実施した対策の効果が充分かどうか、 目標を基準に評価する。

     <問題点>
      (1) 大改善の場合
      改善か十分かどうか判断する目標達成率という指標は矛盾である。

      なぜなら、 主観説の目標は、 「挑戦はするが、 達成するとは言っていないもの」だからである。

      さらに、 出費額、 期間、 副作用 (騒音・エネルギー消費量など) も確認する必要があるから、 効果の確認ではなく、 結果の確認という用語が適当である。

      (2) 小改善の場合
      大改善は、 事前に効果充分と確認した対策のみを実施する。 このような条件を 停止条件 という。 しかし、 小改善では、 実施してみて効果がなければ止めるという条件を用いることが多い。 このような条件を 解除条件 という。

     主観説は解除条件を認めず、 重大な欠落である。


      3-2-8 標準化と効果の定着 (従来の説明)
      効果のあった対策を標準書に織り込んで、 今後確実に実施するように定着させる。

     <問題点>

      ここでの問題は、 標準書を作れば実施が定着するとしている点だ。 標準書を読みながら仕事をする人など誰もいない。 効果を定着させるには、 職場の責任者が 「人対人の関係」 で指導するのである。 その責任者が標準書を見て、 指導の虎の巻とする。 従って、 責任者の同意を得ないで標準化をしてはならない。


    @(^-^)@ 標準書

      標準化(Planning)は、 人の行為や物の規格などを書面化することであり、 標準化した後は P D C A の管理サイクルを回すものであることは多くの人に周知である。

    ■ だが、 「その標準書に、 どのようなものがあるか、 挙げてみよ」 と質問すると、 何々標準、 何々基準、 品質マニュアル等はすぐに挙げるが、 設計図面や特性要因図や QC 工程表などはなかなか挙げない。

      図面に 「標準書」 と表示していないためか、 図面が標準書だとは普段あまり考えないようである。 だが、 図面を使う仕事では図面ほど重要な標準書はない。 また、 工程を管理する部署では QC 工程表ほど重要な標準書はない。

      特に、 小集団活動は、 QC 工程表による日常管理に関する小改善活動であるということができる。

    ■ ところで、 標準書は何に使うか? と尋ねると、 「作業教育に使う。」 と答えるサークルが非常に多い。 そう考える原因は、 「標準を守るには標準を知らねばならないから、 標準書を読ませる。」 と考えることにある。 新人に作業を教えるときにも、標準書を読ませることが多い。

      だが、 標準書は管理のツールであって教育ツールではない。 だから、 初心者向きの指導書のように作成するのではない。

      なお、 PDCA の管理サイクルを参照のこと。


    ■ 規則に記載することが、 なぜ標準化なのか? と質問すると、 「皆がそれに従うから標準だ。」 との答えである。

      待てよ、 皆が従うから標準なのか、 標準だから皆が従うのか? 実は、 これは重要な問題だ。

      いま、 「従ってもよい結果にならない標準書」 を作ったら、 皆は従うだろうか?  いや、 従うまい。 やはり、 現時点で一番よいやり方を決めてあるから従うのだろう。

      一番よいやり方を決めてあるから皆が従い、 皆が従うと欠陥は皆で修正するから、 ますますよい標準になって行く。

      正確にいうと、 作りたての標準書は、 実績が少ないから実質的に標準とはいえない。 皆が従って行けば実績が増えて、 管理サイクルが回って安定してくる。 それが本当の標準である。

      つまり標準とは、 豊富な実績によって安心して使えるようになったものをいう。 これを 実質的意味の標準 という。

      作りたての、 いわば実績ゼロの標準書は、(実質的には標準書でないが) 形式的な意味の標準 である。 今後実績を積み重ねて、 安心して使える本当の標準に育て上げねばならない。

      だから、 標準書を作成すれば歯止めが終わった、 というのではない。


    ■ 標準化に、 どういうメリットがあるか? との質問には、 「皆が従えばバラツキがなくなる」 とサークルらしい答え方である。

      人によって物とやり方が違うといろいろな不都合があるが、 標準化すると3つのメリットがある。

      社内標準化は、 単に作ればよいではなく、 これら3つの機能を果たすことを意識して推進する必要がある。

    1. 互換性
      皆が同じ物、 同じやり方だと、 人が交代したり物が移動したときにそのまま使える。

    2. 信頼性
      皆が繰り返し使うから実績が蓄積して、 安心して使える。

    3. 情報性
      皆が同じ物、 同じやり方だと、 話が直ぐに通じる。

      3-2-9 反省と今後の計画 (従来の説明)
      良かった点、 悪かった点を挙げて、 良かった点は今後も生かし、 悪かった点は是正する。 また、 この後、 どのような計画をもっているのか、 概要を説明する。

     <問題点>

     (1) 勘で目標を立てたり勘で要因を絞ることは正しいとされ、 反省の対象にならない。

     (2) 体裁中心に染まって、 「どんな反省にすれば体裁がよいか」 を考えるから、 全く反省にならない。
      また、 今後の計画も 「ない」 といえば体裁が悪いから、 実在しない計画を創作してしまう。

     (3) 従来のこのステップでの反省は、 担当者の反省 として扱われており、 経営者の反省 は期待できず、 改善が停滞する。 → 第4章SP

     (4) この点、 客観説では、 担当者の反省と経営者の反省が鮮明に分離され、 従来は他人事とのようになっていた反省事項が浮き彫りになる。

      従来、 この反省という項目は、ほとんど機能していないことが分かる。 特に、 小集団活動で反省の発表を要求することは廃止すべきだろう。


      〜と、 大急ぎで走ってしまったが、 従来当然のように指導された内容にも問題点が随所に存在することが分かるであろう。 この後の章では、 これらの問題点を詳しく分析した上で是正案を提示する。 是正案といっても、 私が30年以上も以前から自分で実行し、 かつ、 指導している内容であり、 充分に実績を積んだものである。


    TOP
    2 目標の設定
    ページの先頭
    4 是正QCストーリー
    客観説─QC
    客観説─品質管理
    1
    1_2
    1_3
    2
    2_2
    3
    4
    5
    5_2
    6
    6_2
    6_3
    7
    7_2
    8
    9
    10
    no_smoking
    no_smoking2
    fmea
    fta
    q_a
    seminars
    seminar1
    seminar2
    seminar3
    seminar4
    FMEA/FTA・特性要因図 ─ 研修セミナー
    時事評論コラム なるほどダイエット