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第6章 要因分析と特性要因図
この章では、 要因分析-原因解析に関する次のような問題点に着目します。 (1) 問題解決型の活動で、 素人は要因を多数挙げて絞ろうとするが、 達人は最初から少ない要因を挙げます。 (2) 特性要因図は、 解析用と管理用の使い分けが重要です。 (3) 活動タイプは、問題解決型・課題達成型・施策実行型の他に、 対策先行型と事後予防型があります。 (4) QC工程表は特性要因図を反映したもので、 QA 工程表とは違います。 (5) 最後に、 FMEA、FTA、ETA、直交配列表 などに触れます。
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■要因の絞りと範囲の絞り ■列挙する要因が多くなるワケ ■管理用と解析用の使い分け ■特性要因を誤った事例 ■特性要因と経営資源 ■なぜなぜ分析 |
■QA工程表とQC工程表 ■演繹的、帰納的アプローチ ■設備保全の場合 ■再発防止と予防活動 ■理由と原因の違い ■なぜなぜ分析の誤解 |
■層別の意味 ■直交配列表の簡便な使用 ■5つの活動タイプ ■活動タイプの選定の時期 ■施策実行型小改善(A) |
要因と原因 |
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この章に入る前に、 要因・原因の意味を吟味しよう。
要因や原因について説明する記事は少ないのですが、 「NC-NET」 と題するサイトで、 次のような説明があります。
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このような定義の仕方を形式的定義と言います。 例えば 「右とは左の反対をいう」 という定義の仕方が形式的定義です。 これだと 「右」 の意味を知るためには 「左」の意味を知らねばならず、 「左」 の意味を知るには 「右」 の意味を知らねばならず、 結局、 実質的には何も明らかになりません。 左の定義文をみると、 「要因」 の意味を知るには先に 「原因」 の意味を知っていなければならず、 「原因」 の意味を知ろうとすると先に 「要因」 を知っていなければならないことが分かります。 |
つまり、 要因の意味も原因の意味も、 要因と原因の違いも全く説明していないことが分かります。 また、 「要因とは、 特性に影響する原因をいう」 と言うからには、 原因には 「特性に影響する原因」 と 「特性に影響しない原因」 の2種類があって、 そのうち前者を要因と呼ぶことになる。 しかし 「特性に影響しない原因」 は考えられず、 この定義文全体が無意味なものになります。 こういう状態で特性要因図を説明し、 あるいは作ろうとしても、 全くピント外れになります。 現に、 その後の説明文に 「一つの特性に対する 複数の要因 の影響を体系的に表した図が特性要因図である。」 とありますが、 要因が1個の場合もあり得ます。 |
要因と原因を混同すると、 管理用特性要因図と解析用特性要因図を混同することになり、 予防活動と是正活動を混同することになります。 まず、 第3章の 要因と原因の違いを理解した後で、 改めてこの章に入ることにしよう。 |
| 6−1 データアプローチでいう 「事実」 とは? |
問題解決型の要因分析の事例を紹介しよう。 製造工程の慢性不良の低減を目的とする活動で、 ある指導機関の講師が指導した事例である。
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だが、 このやり方で慢性不良が低減する可能性はほとんどない。 「なぜ、 その○印の要因が重要と分かるか?」 と訊くと、 何と 「多数決をとる」 という。 「多数決の結果」 という事実に基づけばデータアプローチだという呆れた話だ。 日本で有数の指導機関に、 なぜ、 このような講師がいるのか不思議でならない。 データアプローチでいう 「事実」 は、 因果を裏付ける証拠を意味し、 カンの多数決をとっても何の証拠にもならない。 |
| 6−2 要因分析 |
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6-2-1 要因を絞らず、 範囲を絞れ 要因分析 とは、 ある結果に影響する要因を特定し、影響力を評価することである。 実務的には、 対策すべき事項を探すことである。 要因分析の目的の違いに応じてやり方も5種類あり、 それらの使い分けが必要になる。 だが、 その問題は後に譲って、 ここでは最も重要な問題解決型の要因分析の問題点を述べる。 要因のうち、 影響力が強いため管理しなければならないものを 主要因 という。 原因 とは、 主要因のうち管理されていないためにトラブルを引き起こしたものをいう (主要因でも、 適正に管理されていれば原因にはならない)。 |
そこで、 従来は、
だが、 この考え方が根本的な間違いなのである。 なぜなら、 当てずっぽうに列挙した多数の要因を絞るためのデータ的根拠 (決め手) がないからである。 |
本来は、 現状の把握において極限まで 列挙する要因の範囲を絞る のが正しい。 名医は診察するときに、 なぜ当を得た少数の病名を挙げられるのか? 病名を多数挙げてから絞るのでなく、 専門的な知見と患者のデータから、 当初から範囲を絞って病名を挙げるからだ。 すなわち、 体温測定 ・ 血圧測定 ・ 検便 ・ 検尿 ・ 血液検査 ・ レントゲン検査 ・ 超音波検査 ・ 心電図検査などは、 この 「現状の把握」 であり、 これで病気の範囲が狭くなる。 |
その上で、 考えられる病名を挙げるから、 当初から少数なのである。 品質管理でいえば、 特性要因図を先に作るのではなく、 範囲を絞ってから特性要因図を作るのである。
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そこで、 いろいろと要因の範囲を絞る工夫をする。 そして、 これ以上範囲を絞る方法がないとなれば、 やむをえず要因を絞る 。 つまり、 数個の要因から、 特性に対する影響の大きいものを見出し、 それが管理されていなければ原因と断定する。 「要因分析が最も重要なステップだ」 と言われて特性要因図に要因を多数並べないと格好がつかないとの風潮は、 原因を探すための特性要因図と管理すべき要因を列挙する管理用の特性要因図を取り違えたことに由来する (後述)。 華々しい特性要因図を描いて、 そこから絞ったような素振りをする 「クズ発表」 が多く、 本当の達人の発表が見られない。 |
ついでに1つグチを言うと、 固有技術を知らない 「品質管理屋」 はとかく特性要因図に要因を無数に並べる。 ノウハウがないからノウハウで絞るのではなく多変量解析や実験計画法を駆使して、 多数の要因から有意な要因を見つようとするからである。 だが、 それは真の達人ではない。 近代物理学・工学は、 数学的手法で原理や現象を解き明かす。 これは物理学者や工学者が数学を駆使するから可能なのであって、 数学者に出来ることではない。 同様に、 品質管理は各応用分野の人がノウハウを駆使して初めて応用できるのであって、 品質管理専攻の研究者 に品質管理の実務が出来るかというと、そうではない。 いや、 品質管理専攻の研究者で品質管理の実務が出来る人は、 ほとんどいないであろう。 |
品質管理の実務というのは、 営業・商品企画・製品設計・生産技術・設備保全〜などの実務を相当に広く担当しなければならないからである。 品質管理は管理技術の1つあるが、 それを実際に使うのは固有技術者 (メッキ、 熱処理、 機械設計などの技術者) や営業・購買などの実務である。 メッキに関するテーマはメッキ技術を知らないと手も足も出ないし、 メッキに詳しい人が取り組んで ─ 特性要因図に要因を列挙する前に ─ 攻めどころ、 ないし 「要因の範囲」 を絞るのである。 問題解決型の要因分析で、(固有技術の見地からではなく) なぜなぜ分析やブレーン・ストーミングで多数の要因を列挙するとの誤った発想は、 管理技術専攻の研究者に特有のものである。 まして実務経験があれば、 このような間違いはあり得ない。 |
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[図表6a-1] 典型的なグラフの動き
![]()
グラフの特徴を把握してみよう。
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[図表6a-2] ヒストグラム
![]() |
分布の特徴を把握してみよう。
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| 6−3 特性要因図(Fishbone Diagram、魚骨) |
JR福知山線の脱線事故 が起きたとき、 TVのワイドショーやニュース解説で多数の専門家や司会者が、 原因、 要因、 理由の区別をわきまえずに事件を語っている。 しかも、 「原因を徹底的に究明しなければ対策も考えられない。」 などいうような誤った発言もしている。 専門家がまるで不在なのである。 特性要因図は、 原因と要因の違い、 目的の違い、 作り方の違いが重要である。
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という区別である。 福知山線の脱線事故は、 「運転手がミスをすれば脱線する」、 「線路に石を置けば脱線する」、 「脱線すれば何に衝突するか分からない」 という無管理状態の中で起きているから、 原因だけでなく、 全要因に対策する必要がある。 無管理状態の場合は、 今回の原因にだけ対策しても将来に他の要因が原因になりかねない。 従って、 解析用特性要因図を作って原因に対策を講ずる他、 全要因を列挙した特性要因図 (管理用) を作成して予防策も講じなければならない。 これに対し原因追求の場合は、 データから少数の要因を列挙した特性要因図 (解析用) を作成し、 そこから実験棟によりさらにデータを収集して原因(犯人)を絞り込むだけである。 |
特性要因図 には解析用と管理用の区別があるが、 これを誤る人が非常に多く、 特性要因図ではこれが最大の問題点だ。 まず、 一般の講習会などで教える講師の多くは、 特性要因図に管理用と解析用の区別があることを知らない。 いま、 インターネットで特性要因図の作り方を指導しているサイトを探してみると、 〜という3通りの作り方が示されている。 だが、 いずれも間違っているのである。前2者は、 現に起きているトラブルの要因を現場のデータによらず、 頭で考えた 「なぜなぜ」や「奇抜な思いつき」 で列挙する点で根本的なあやまりである。 予防活動と是正活動を取り違えている。 |
後者は 「データでものを言え」 とする点で正しいが、 データでものを言いながら要因を列挙するのかと思えば、 ブレーンストーミングで (データを無視して) 列挙するのだから全くの矛盾である。 このことは実務を経験すれば誰にも分ることだから、 上のような指導講師は実務経験を疑われる。 実務で苦労した経験もなく頭だけで理解し習ったことを教えるだけの講師は、 実は世間に多いのだ。 このあと、 管理用と解析用という特性要因図の区別を説明する。 特性要因図には、 作成目的によって2種類ある。 そして、 この2種類を混同することが原因となって例の 「要因を華やかに多数列挙しよう。」 とする誤解を生んだ。 このことが分れば、 多数の要因を並べた特性要因図は恥ずかしくて作れなくなるであろう。 |
6-3-1 管理用の特性要因図 生産準備段階でQC工程表を作成するとき、 将来トラブルがないように管理すべきあらゆる心配事 (要因) を列挙して予防策を講じる。 これは管理すべきものを列挙するのであって、 この中から重要なものを絞るのではない。 これが 管理用 の特性要因図である。 予防だから、 トラブルの実績データは利用しない。 実績データに捕らわれないで、 考えられるあらゆる心配事を列挙する。 その分野の経験・知識に基づいて管理すべき要因を演繹的・系統的に列挙するもので、 絞ってはならない。 |
労働安全、 製品安全、 市場クレーム、 環境汚染などは、 一度発生したら致命的な損失となるから、 トラブルの発生データから要因を割り出すのではなく、 そもそも発生しないように予防する。 管理用特性要因図の作成法 は、 例えば 「汚れ不良」 の要因を列挙する場合は、 「こうすれば汚れる」 という具合に、 「何とかして汚してやろう」 という頭で汚れを導く。 これを 悪意ある管理者の発想法 という。 これは 「なぜ、汚れるか?」 というボトムアップの発想ではなく、 「こうであれば汚れるはず」 というトップダウンの発想である。 |
管理用の場合は検討が進むにつれ要因の数がどんどん増えるので、 体系化、 すなわち 「漏れ、 重複、 矛盾のない状態」 にすることが重要になり、 そのためのツールとして特性要因図が便利な手段になる。 製品安全、労働安全、環境保護などの場合は、 業務開始前も開始後も、 管理用の特性要因図で演繹的・系統的に全ての要因に対策を講じる。 |
例えば、HACCP (Hazard Analysis and Critical Control Point、 危険分析及び重要管理点) で列挙する危険要因は全て管理する。 また、 FMEA や FTA は、 管理用の特性要因図と道を同じくするもので、 心配な程度を定量的に評価して、 要因に対策を講じる。 それでも危険要因が発生した場合に、 それが重大事故につながらないように対策を講じる ETA の手法も有効である。 |
6-3-2 解析用の特性要因図 問題解決型の活動でトラブルの原因を探すために作る特性要因図を 解析用 の特性要因図という。 前提として 「本来的にトラブルはないはず」 という管理状態でなければならない。 その上で、 「なぜかトラブルが起きる。 原因はなんだろうか?」 という事態が起きたときに、 これを解決するのが問題解決型で使うのが解析用である。
無管理状態の場合に、 なぜ、 原因を探すための解析用を作成してはならないか? 理由は2つある。 |
解析用の場合は、 特性要因図を作らないで済むのが上手なやり方である。 なぜなら、 もし神様が原因追求に乗り出したら、 「原因はこれぞ!」 と一発で原因をしとめるから特性要因図は要らないからだ。 |
ここまで言えば、 「ヘボは多数の要因を列挙する」、 「多数並べるのはアホの証拠で、 恥ずかしい」 という意味が分かったであろう。 解析用を作るのは、 いろいろ調べても原因が分らず、「もしかしたらあれかも知れない、いや、 もしかしたらこれかも知れない〜」 と列挙するためのものである。 そのように列挙した上で実験などの作戦を練るための整理棚だ。 |
従って、 やむを得ず特性要因図を作るとしても、 要因が少ないほど優秀な改善マンであり、 多く並べる人ほど下手だということになる。 実務経験の乏しい指導講師はこれを理解できない。 ヤブ医者は、 ろくに患者のデータもみないで頭の中で多数の病名を並べる。 そして、「う〜ン」 とうなって、 山勘で 「多分この病気だ」 とカンを働かせる。 こうなっちゃ、 駄目よ。 |
6-3-3 要因数が多くなる原因 第1章の冒頭の改善事例で、 犯人探し、 従って少数の主要因を探すテーマであるのに、 80個もの多数の要因を列挙してしまった原因は何か。 整理すると、 およそ4つある。
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| 管理用と解析用の使い分けの誤り |
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特性要因図というと、 一般に、 背骨・大骨・中骨など作図上の問題を真っ先に考える。 だから、 「特性要因図の作り方」 が第1の問題だと誤解する。 しかし、 その前に、 何のために作るか (管理のためのか、 原因探しのためか) という目的を考えねばならない。 つまり、 何の必要があって作るのか、 管理用と解析用の使い分けを知らなければ何の意味もない。 さもないと、 折角作った特性要因図が何の役にも立たないのである。 「特性要因図に、あまり多くの要因を並べるな」 と言うと、 「それは困る」 と苦情が出ることがある。 管理用と解析用の混同である。 以上のことを 沖縄ガス(株)殿の改善事例 を引用して説明しよう。 |
「沖縄ガスの場合」 は、 次のように説明されている。
〜とあるが、 これを客観説TQMの立場で批判してみよう。 第1に、 書類作成に時間がかからないように予防策は打ってあるのか? もし打っていないとすれば、 管理用の特性要因図を作ることになるから、 絞ってはならない。 |
第2に、 予防策を打つとすれば、 誰しも、
第3に、 枚数を少なくし手書きやパソコン入力を少なくすべきは当然のことであって、 データで裏付ける問題ではない。 データアプローチとは、 「データがなければ判断できないことは、 データに基づいて判断せよ」 との要求であって、 当然のことまでデータで裏付ける必要はない。 |
ところが、 発表する本人達はそう思っていない。
この事例のように事前に予防策をしなかった場合は、 ひとまず事後的に予防策を講じるしかない。 これは正規な方法ではないが、 やらないワケには行かない。 「事後なのに予防とは、 これいかに!」 と呼び方は変だが、 事後予防型 という一つの活動タイプを認知しないワケには行かないのである。 |
〔出版の問題〕 品質管理に関する出版機関である日科技連出版社や日本規格協会の書籍に、 以上の使い分けについて解説がないのは何故か? 主に、 次のような原因がある。 1.学者に実務経験が欠如し、 理論の間違いに気がつかない。 さらに、 品質管理学会が学者間の議論の場として機能しない。 相互批判がなく相互に鵜呑みにし、 間違いをそのまま見逃す。 2.書籍のお客様は一般実務家であるという認識が、 書籍の編集責任者に欠けている。 出版権の独立 がなく、 もっぱら日科技連出版社は日科技連や品質管理学会の意向に沿わねばならない。 例えば、 デミング賞を受賞学者の著作に大きな理論上の誤りがあっても、 それを批判する本は出版できず、 学問的真実や顧客ニーズを重視する経営方針ではない。 これでは品質管理の発展への寄与に限界がある。 |
石川馨という 品質管理の神様 が言い出したことに誰も口出しせぬまま実50年を経過し、 いまだ特性要因図は管理用と解析用の区別がなく、 QCストーリーは活動手順で、 QCサークルで目標を設定し、 方針管理もPDCA管理サイクルという古典理論に終始している。 これは政府機関の役人が国民をお客様とは思っていないのと似に問題である。 経営の質を扱う専門指導機関であるのに、 自ら経営の質 の問題を抱え込んでいるように見える。 「誰がお客様か」 を誤ればニーズの把握を誤るのも当然である。 学者や出版編集者は、 現場の実態 (ホラ吹きコンクール) とそれを招いた自分達の責任には驚くほど無頓着である。 編集権の独立がない環境下では多彩な見解に基づく議論がなく、 誤った唯一の理論に陥ることを防げない。 品質管理の発展には学者や出版社が現場をよく知ること、 出版権の独立を構築することが第一歩である。 |
| 経営資源への振り分け |
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右の図に沿って説明すると、 製造工程に限らず、 およそ一般にプロセスを構成する経営資源は5Mに分類することができる。 すなわち、 5Mとは、
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![]() 従って、 要因は、 これら5Mの項目で分類するのが便利である。 |
このような分類項目を設ける目的は、 要因を系統的 (=欠落、重複、矛盾がない状態) に特性要因図に列挙するするためである。 従って、 他の分類項目で分類しても構わないが、 「これらを合計すれば全部だ」 という関係を維持する必要があります。 さて、 ある製造工程である製造方法を採用しました。 その製造法だと、 製品の粘度を管理するために、 人が機械の中にある材料の温度を測定することになっており、 この作業を手抜きしないように管理する必要があります。 〔問題〕「製品の粘度不良」 を特性として、 この材料の 「温度測定の手抜き」 を要因として分類するには、 方法・人・機械・材料・測定のどれになるのでしょうか? |
製造方法が問題だと考えれば 「方法」 の問題だし、 手抜きをする人が問題だと考えれば 「人」 になるし、 機械の中の状態に関すると考えれば 「機械」 になるし、 材料の温度の問題だと考えれば 「材料」 だとも考えられ、 同様に 「測定」 の問題だとも考えらます。 これについて明確な認識がないと、 同じ要因があちこちに重複したり漏れたりし、 系統的に列挙することができません。 〔解答〕「人」 の項目に記載します。 〔理由〕どの経営資源がうまく機能しないか、を問題にする。 材料が悪いのではないから、 材料の問題ではない。 「手抜き」 が問題なのであれば、 人が機能しなかったのだから 「人」 の項目として 「温度測定の手抜き」 を要因にする。 |
しかし、 他の要因も考えられる。 機械に内蔵したヒーターの断線、 電源電圧の狂い〜など、 機械がうまく機能しない場合を問題にするなら、 「機械」 に分類することになる。 材料が温度によって敏感に粘度に影響し過ぎることを問題視するなら、 「材料」 の温度特性が要因になる。 |
ヒーターで加熱する(方法)、 人が測定して加減する(方法)が問題なら、 「方法」 がうまく機能しないという 「方法」 に関する要因となる。 情報(データ)の収集・分析に関する測定機器、 測定項目、 記録の仕方、 データ分析方法などに問題がある場合は、 「測定」 に分類する。 顧客のニーズの測定、 工程(プロセス)の測定、 結果(アウトプット)の測定を含むことに要注意。 |
6-3-4 QA工程表、QC工程表と特性要因図
(1) QA 工程表 これは品質保証ツールであり、 目的は流出防止 (顧客や下流からの苦情を予防する) である。
(2) QC 工程表 QC 工程表は、 管理すべき要因とその結果である特性との関係を特性要因図から忠実に転記した関係になければならない。 QC 工程表の役目は作り込み (トラブル予防の品質管理) だが、 実務上は流出防止 (品質保証) を兼ねて作成する。 |
QC 工程表の構成は、 通常、 左側に 「機械(Machine)、 人(Man)、 材料(Material)、 方法(Method)、 測定(Measurement)」 などの5Mのあるべき姿を記述する。 そして、 右側に、 結果として得られるべき品質特性を記述する。
(3) 注意事項 また、 これらの特性要因図、 及びQC工程表は、
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| 書誌的事項 | 作り込み | 品質保証 | |||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 番号 | 名称 | 設備/副資材 | 人 | 部材 | 作業 | 点検 | 記録 | 特性 | 方式 | 器具 | 時期 | 記録 | 品証 | ||
| 1 | Brkt かしめ |
2.空圧: 3.速度: 4.下死点: 5.潤滑油: |
B |
1. Brkt 2. SW 3. ピン |
ジグに3部品をセット。 SWをON。 |
1/開始 1/終了 |
専用 | A:3±0.1 | 全数 | ノギス | --- | 専用 | 0/32 | ||
| B:隙間なし | 全数 | 目視 | --- | 専用 | 0/32 | ||||||||||
| 2 | |||||||||||||||
| 3 | |||||||||||||||
上の表で、 人を 「B」 としたのは、AA:特殊工程資格者、A:熟練者、B:普通技能者、C:初級技能者、D:初心者、 などの区分けを意味する。 作成手順を概観すると、 まず、 叩き台として「こういう段取りで、 こういう品質特性を得よう」 というQC工程表原案を作る。 その上で、 各特性ごとに心配事を列挙した管理用特性要因図を作成し、 その管理方法をQC工程表原案に補充する。 上の例で言えば、 |
作り込み条件にも、 点検方法と判定基準が必要となる。 作り込み条件のうち、 「作業」 のところは箇条書きにする必要がある。 まずいのは、 「ハンマーで叩いて割る」 というような表現である。 なぜなら、 「ハンマーで叩く。割る。」 という2つの動作で成り立っているのではなく、 「ハンマーで叩く」 が作業で、 「割れる」 が効果だからである。 つまり 「ハンマーで叩く」 が作業で、 「割れていること」 が特性である。
このように設計した工程が確実に守られる (工程が壊れない) かどうかを判定し、 必要な対策を講じて行く手法が 工程 FMEA である。 |
(4)プロセス・アプローチとQC工程表 QC工程表は、 プロセス・アプローチを保証するためのツールだ。 「このようなプロセスで要因を管理すれば、 このような結果 (特性) が保証される」 旨を記述したものである。 逆に言えば、 プロセスを明記せずに結果だけを示したものはQC工程表ではない。 多く見るのは、 「バリなきこと、 汚れなきこと」 と結果を規定しつつ何をどのように管理すればそれが実現するのか全く記載がない事例である。 いろいろな企業でQC工程表と称するものを見たが、 「これがなぜ、QC工程表ですか?」 と質問すると、 「この表紙に、QC工程表と表示してあります。」 との説明が多かった。 |
「表紙にQC工程表と書けば、 中身が白紙でもQC工程表ですか?」 と問いただすと、 「全くの白紙ではどうにもならないが、 一応の手順が記載されていればQC工程表でしょう?」 というような文言が返ってくることが多い。 この程度の認識では、 極めて粗雑な予防措置の下に本番の生産が始まるから、 いざ蓋を開けるとトラブルが続発圧するのである。 各ステップごとに予想されるトラブルを挙げ、 管理用特性要因図で全ての要因を列挙し、 全ての要因の管理方法を記述しなければQC工程表とは言えない。 だが、 その理解は十分に浸透していない(ウエブ公開例、(株)フカエ)。 |
(5)QC工程表は、 品質専門のツールか? 以上で述べたように、 QC工程表は工程設計の結果を反映して管理事項を記載したもので、 「どのように管理すれば所定の成果が得られるか」 を示した管理ツールである。 ところで、 QC工程表は専ら品質を得るためのツールか、 コスト・納期・安全・環境保護をも管理するツールなのかという点を吟味しよう。 結論を言えば、 品質だけを単独に管理することはできない (QDC一体管理) から、 QC工程表は QDCSE を 全て管理するツールである。 |
品質の他、 コスト・納期(速度)・安全・環境も考慮して QC工程表に 「旋盤の主軸回転速度:2000rpm」 と規定するから、 2000rpm に管理することは、 品質・コスト・納期(速度)・安全・環境を管理することになる。 さらに、 安全上の要請、 環境保護上の要請なども加味してもよい。 QCとはプロセスの質の管理であって、 アウトプットについては品質・納期・コスト・安全・環境の全てを満たすように管理せねばならない。 もっとも、 品質・納期・コスト・安全・環境に関する要求事項を分離してQC工程表を作成しても構わないが、 それら全てを合体したものがQC工程表である。 |
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6-4-1 事後的な改善活動 活動のタイプを明らかにすることは極めて重要である。 なぜなら、 別のタイプのQCストーリーでは、 誤った活動になったり食い違う点をウソ話でつくろって発表することになるからである。 活動のタイプは通常、 問題解決型、 課題達成型、 施策実行型の3つが挙げられるが、 小改善に限って言えば、 他にも2つの型がある。 後に述べる 事後予防型 と 対策先行型 がそれであるが、 実務ではこれらが非常に多い。 以下、 これら典型活動タイプを説明する。
[1] 問題解決型 |
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「トラブルあり → 原因を探す → 問題解決型」 と短絡的に考えてはならず、 「トラブルを予防しているのに起きる犯人探しの場合」 に限ってこのタイプの活動となることに注意せねばならない。 無管理状態で 「トラブルがあって当然だ」 という場合は、 特定の原因の問題ではないから、 事後予防型または課題達成型の活動となる。 故に、 「管理状態にあるかどうか」 によって、 アプローチが異なってくる。
[2] 課題達成型 |
[3] 施策実行型 問題解決型や課題達成型に属する場合も、 原因や対策が見えている場合は施策実行型という。 単に対策を実施するだけだと、 なぜなぜ分析による根本原因の追求や標準化になどが疎かになるので、 それらを抜かりなくするためにQCストーリーを論ずる意義がある。
対策について、 最善性の確保と蓋然性の保証は免除されない。 従って、 改めて網羅的な立案と目標の設定が必要となる (第2章を参照のこと)。 | 通常1個の小改善をしても 発表の価値 がないため、 発表事例は 「1つの特性について多数の改善策の積み重ね」 となるのが普通である。 この場合、 お父さんのお小遣いのムダを減らし長男も次男も三男も同様にして 「一家のお小遣いのムダを減らす」 という構成を同質構成という。 他方、 お父さんはタバコをやめ、 長男は酒をやめ、 次男は麻薬を止めて、 「一家の健康指数を向上する」という異質構成もある。 ここでは、 小テーマの特性が大テーマの要因になっている。 |
施策実行型は、 システムの一部について小改善を思いつくままに講じて行く活動である。 原因が分かっており、 その対策として 「こうしたら原因が除去できるのでは?」 というアプローチを繰り返す点である。 いずれも 「チリも積もれば山となる」 の原理で、 小さな改善を放置しない習慣を育成し、 やりがいを与える。 この意味で、 小集団活動にうってつけのタイプである。 やり方の基本は、 「こうしてみようか」、 「それがダメなら、 次はこうしてみようか」 という具合に、 次々と対策を打ってはグラフを見て (換言すればPDCAを回して) 成果を上げていく活動である。 |
施策実行型と呼ぶべき活動に中には、 問題解決型の系統 (要因を除く対策を講じる) と課題達成型の系統 (新たなやり方を考える) がある。 また、 要因や対策を先に列挙してから実行に移す 「同時型」 と、 要因や対策を1つ実行しては次の要因や対策を検討する 「漸次(ぜんじ)型」 がある。 これらをまとめたのが下の表である。 ただ、 以上に挙げたタイプに限らず独自の手順構成でも支障ない。 特に、 問題解決型系と課題達成型の系が混ざるのはごく普通である。 |
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[4] 事後予防型 事前に講ずるべき予防策を──遅ればせながら事後的に講ずる活動をいう。 特性要因図は、 管理用である。 工場で生産を始めるには、 普通、 管理すべき要因 (電圧、温度、速度、その他) を決めて、 トラブルが起きないように管理する。 まだ仕事が始まっていないから、 実績データは何もない。 故に、 管理すべき要因はその道の専門家の常識で決める。 これが 「管理用の特性要因図」 であって、 ここからQC工程表や作業標準に展開する訳である。 そしてこのような決め方を 演繹的アプローチ と呼ぶ。 |
ところが、 必要な機械設備のようなものは準備するが、 細かなノウハウがないままに予防策もほとんどせずに走ってしまう場合がある。 商店、官庁、病院など製造業以外の業種で非常に多い。 製造業でも、 昔ながらの職人仕事のような工場もそうである。
この場合は、 ひとまず原則に戻って 「管理用の特性要因図」 から始めなくてはならない。 遅ればせながら本来の予防策を講ずるという意味で、「事後予防型」 と呼ぶ訳である。 |
不良削減の具体例を挙げてみよう。 今、 製品に汚れが発生するので、 その対策を打つものとする。 ところが、 作業者は素手で製品に触るし、 コンベアやジグは清掃しないし、 洗浄液は汚れたままだし、 床に落ちた製品はそのままコンベアに戻している。 この状態では、 特定の原因を問題にしても仕方がないのだ。 なぜなら、 コンベアの汚れが原因となる場合もあり得るし、 汚れた手で触ったことが原因となることもあり得るからだ。 |
問題解決型(原因確定型と先行対策型を含む) と事後予防型とは、 どう違うか?
しかし事後予防型は、 出来るだけ多数の要因を知識・経験によってトップ・ダウン式に列挙する (演繹的アプローチ)。 この違いを知らずに発表するから、 作り話がばれてしまうのだ。 普通はもう1つのウソがある。 事後予防型では、 列挙した要因は心配である限り全て対策を必要とする。 |
[5] 対策先行型 問題解決型には、 2種類ある。 原因がはっきりしてから対策を打つ原因確定型と、 怪しい要因の全部に対策を打ってしまう対策先行型である。 出費の多い対策 (大改善) は、 原因がはっきりして、 しかも見返りが十分であることを確認してからでなければ実施できない。 つまり、 原因確定型のみが許される。 だが小改善は出費が少ないから全部対策してしまう場合がある。 とりあえず実施して有効なら原因が分かるし、 効果がなければ原因が他にあると分かる。 |
つまり効果がないことが 解除条件 になる。 この検証方法を対策先行型と呼んでいる。 小集団活動ではこの対策先行型が非常に多いはずだが、 適合するQCストーリーがないため、 問題解決型のQCストーリーを使って──あたかも要因分析をして原因を割り出したように虚偽の発表をする。 活動者は、 活動のタイプをいつ選定するのか? 解決に要する金額は、 そのテーマの属性であって金額の見積の時に確定するから、 当初は (対策手段が未定の時期) 大改善テーマか小改善テーマか、 判別のしようがない。 |
故に、 出費額が判明するまでは大改善としても小改善としても扱えなくなって理論が破綻する。 この点、 どう考えるべきか。 大改善か小改善かは、 「まず小改善として検討し、 それでダメなら大改善として検討する」 という方針(政策) 管理の問題として扱えばよい。
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6-4-2 設備保全の場合 これはQCストーリーに入れてよいかどうか迷うタイプであるが、 除外することによって格別のメリットもないので、 ここに含めることにした。
(1) 直接診断型 工程内不良の原因を特定して対策を講じた場合に、 それ有効かどうかはすぐに判明する。 しかし、 設備保全では異なる事情がある。 例えば、 リミット・スイッチの故障が多いとする。 故障が多いと言っても数が多いからであって、 それぞれ2年や3年はもっており、 昨日交換したスイッチが今日壊れるという問題ではない。 |
「なぜ、リミット・スイッチが故障しやすいか」 を探るのに、 いろいろ要因を考えて 「多分これだろう」 と仮定して対策を講じてみても、 結果が分るのは3年も5年も先である。 それで当たらなければ別の対策を打って、 さらに3年〜5年と待たねばならず、 これでは困る。 で、 どうするか? スイッチを分解して、 中で何が起きているのか直接に確認する。 接点の過電流、 絶縁不良、 異常な外力による破損、 外的加熱による破損、 その他直接の原因を探る。 自分達で分らなければ、 スイッチメーカーに持ち込んで検討して貰う。
(2) 寿命調査型 |
どこが違うかと言うと、 定期点検は点検して異常な点があれば手を打つが、 定期交換は異常な点があってもなくても部品交換を行なう予防活動である。 どの時点で部品交換をすれば最善か? あまり頻繁だと費用が高くつくし、 あまり長いと故障停止の損失が高くつく。 だから、 過去の実績から最善の交換寿命を求める。
(3) その他 |
参考
演繹的手法で要因を網羅的に列挙して、 起きる確率、 生じる影響の大きさ、 潜在性などから対策の必要性を評価して選定する信頼性技法として、 ● FTA (故障の木解析)、 FMEA (故障モード影響解析)
これらはいずれも事前評価の技法であって、 帰納的アプローチには使えない。 また、 小改善で済む対策は (これらの手法の中での評価とは無関係に) 全ての要因に実施する。
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| 再発防止 | 予防活動 | ||
|---|---|---|---|
| 重大事故 | 現に発生した全ての事故の全ての要因 | 将来起こり得る全ての事故の全ての要因 | |
| 中程度の事故 | 現に発生した件数の多い事故の件数の多い要因を拾って重点管理 | 将来起こり得る事故につき、 費用の割りに効果が大きい対策を選んで実施 | |
| 小改善 | 現に発生した全ての事故の全ての要因 | 将来起こり得る全ての事故の全ての要因 | |
| 軽微な事故 | 大改善 | 実施しない。 | 実施しない。 |
| 小改善 | 現に発生した全ての事故の全ての要因 | 将来起こり得る全ての事故の全ての要因 | |
予防活動は、 未発生のトラブルを将来も発生しないようにすることだから、 対策の効果を実績データで確認することができない。 しかし、 工場の人身事故、 製品安全に関する事故、 重大な医療事故などは1件も発生しないような予防策を講ずる必要がある。
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6-4-4 起きたらどうする? どのタイプの活動も、 嫌なことが起きないようにするために、 原因を潰したり新規の方法を採用する活動である。 しかし、 意外な弱点がある。 それは、 原因や結果が起きたらどうするの? という問に弱い点だ。 「起きないようにしたのだから、 起きないのだ。」 ということが強く印象に残って、 起きた場合のことは考えていないのである。 このような視点が必要なケースは、 労働安全(LS)、 製品安全(PL)、 重要設備の故障、 重大クレームなどの場合である。 工程不良も、 「もう不良ゼロになったから」 と安心するのではなく、 「不良の原因が起きて、 不良が発生したらどうなるんだ?」 と考えなければ、 クレーム問題は収まらない。 そのような問題に対する手法として、 ETA (事象の木解析)がある。 |
そこで早速、 ある病院で検討したら、
〜と、沢山の潜在危険が判明した。 ここで、 困ったことは、 改善の効果をどう確認するかである。 「起きたら?」 というだけで、 滅多に起きないから、 データがない。 この活動は、 潜在危険の削減だから、 FMEA や FTA で現状の危険度を評価し、 そのうちの当該テーマが扱う最終事象 (患者の死亡などの最悪の結果) に関する評価を特性とすればよい。 もっと単純な評価は、 ETA で、 |
| 6−5 直交配列表の利用促進 |
6-5-1 直交配列表があまり利用されない原因
さんざん範囲を絞って、 それでも複数の要因が残るときは、 やむを得ず要因を絞る。 それには直交配列表による実験が有力な手段となる。 生産工場は言うまでもないが、 商店の売上、 病院の患者数、 その他で応用することができる。 ところが、 直交配列表の解説書として目にするのは実験計画法だけである。 こういうものを勉強する人は限られ、 一般には存在すら知られていない。 大学の理科系の学部でも、 履修科目として選択する学生は少ない。 まして企業の作業者・下級・中級・上級職員などで直交配列表を利用する人は極めて少ない。 |
6-5-2 演習と解説 <例題> 薄い板状の金属製品の 「仕上げ処理工程」 でサビが出る。 要因としてA・B・Cが考えられるが、 実験によって対策を講ずる必要のあるもの (主要因) を明らかにせよ。 |
<解説> 要因Aの影響力を調べるには、 Aを日常的に変わり得る範囲内で変化させてみて、 特性がいくら変わるかを見る。 要因に与える状態を 「水準」 といい、 全ての要因を2水準に変化させる実験を 「2水準系の実験」 という。 |
| 要因 | 内容 | 水準の設定 | |
|---|---|---|---|
| 処理後、洗浄乾燥まで防錆液に漬けておく待ち時間 | A 1 = 1 日 | A 2 = 2 日 | |
| ばらばらか、重なっているか。 | B 1 =ばらばら | B 2 =重なり | |
| 新しく用意したもの、 反復使ったもの。 | C 1 =新しい | C 2 = 3 回め | |
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[図表 6e_0] 使用前の直交配列表
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[図表 6 e] 直交配列表の利用
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(1) 割り付け どの列にどの要因を割り当てるかを決めて、要因の記号を記入すること。
最上行の緑のA、 B、 Cが要因で、 e は空欄を示す。 次のオレンジ行の 1〜 7 は、 列の番号。
影響力が大きいと思われる順に、 第 1 列、第 2 列、第 4 列、第 7 列、あとは順序不問に割り付ける。
(2) 実験番号 左端列の縦の1〜8は実験番号であり、 8 回の実験をする。
実験を実際に行う順序は、必ずでたらめな順にすること。 番号順や逆順に実行すると、 考慮していない要因の影響を受けて実験誤差が増えるからです。
例えば、朝の気温が低いときにNO.1から順に実験を始め、 気温が高くなった正午にNO.8まで終了したとします。 すると、 要因Aが本来、 「A1=アルミニウム、 A2=亜鉛」 という材料の違いを表す要因だったものが、 「A1は低温、A2は高温」 にすりかわってしまいます。
(3) 直交配列表の本体 中央の1と2が並んだ部分が直交配列表の本体である。
1 は水準 1、 2 は水準 2 を表します。
従って、実験番号1の実験をするときは、
[A1・B1・C1] の組み合わせで実験をすることになる。
(4) 結果・不良率% 右の 「結果・不良率%」 は、 各実験番号ごとの成績。
実験ごとに資料を百個ずつ使い、 そのうちサビ不良になった個数と考えてもよい。
(5)水準合計値(1)、(2)
下にある青の(1)は、 その要因の水準1の4個の成績の合計値。 B 1 の合計値
グレーの(2)は、 その要因の水準2の4個の成績の合計値。 B 2 の合計値
(6) 水準合計値の差
黄色の 「差」 は、 (1)と(2) の差である。 Bの差
この値を各列について概観すると、
| 5・6・7列のe | 最大 2 | 空欄の影響力=誤差。 本来はゼロのはずだが、実験誤差として最大値 2 が出ている。 |
| 第 1 列のA | 10 | Aの影響力=誤差に比べて中程度。 |
| 第 2 列のB | 20 | Bの影響力=誤差に比べて大。 |
| 第 3 列のe | 10 | 空欄なのに、A×Bの交互作用(中程度)が出ている。 |
結局、 Bが 1 でさえあれば、 Aは 1 でも 2 でもよいことが分かる。
B 1 は製品が重ならないようにすることで、 直径1ミリのプラスチック・ボールの粉を一握りほど防錆液に混ぜて、 製品と製品がピッタリ重なるのを防げばよい。
(8) 成分表
最後に、 一番下のピンク・サロン。 これは交互作用が現れる列を示す成分表である。
第 3 列(a・b)は、 第 1 列(a)と第 2 列(b)の交互作用が現れる列に当たるから、 第 1 列と第 2 列に最も有力な要因を割りつけて、 第3列はできるだけ空白にする (ただし、 交互作用がないと分かっているときは別)。
この計算では、自乗=1とする。 第 1 列と第 7 列の交互作用は、 a(a・b・c)=b・c と第 6 列に出る。
(9) 要因の数が多い場合
要因が 5 つあるなら、 要因Dは第 5 列、 要因Eは第 6 列に割りつけるなど、 最大 7 つまで割るつけることができる。
その場合、 空白列がなくなっても一向に支障ない。 なぜなら、 7 つが全て有力な要因ということは滅多にない。 上の例題でもCは無視してよいものだった。
このように、 影響力の小さいものをeとみなし、 この 「みなしe」 よりも2倍以上の大きいヤツを主要因とすればよい。
(1) 以上の使い方は数学的には間違っており、 実験計画法の先生は絶対に薦めない。 しかし、 実用的には全く間違っていない。 この方法で得た結論が正式な計算の結論と違うことは、 まずない。 また、 直交配列表には無数の種類があるが、 バカの1つ覚えで [図表 5e] のものだけで十分である。 要因数がさらに多いときは、 この表を使って何回かに分けて絞っていけばよい。 |
要因が1〜2個で実験数を減らしたいなら、 [図表 6e] の実験番号 1〜 4、 列 1〜3 の部分を使って 4 回実験用に改造すればよい。 正しいかどうかの問題と役立つかどうかの問題は、 分けて考えなければならない。 その例として、 虚数「i」 を挙げることができる。 虚数「i」は 「−1」 の平方根であって実在しない数だから虚数と呼ぶワケだけど、 その実在しない数の加減乗除を行って非常に役立っている。 |
(2) 7つもの要因について実験しても、 際立った要因が見つからないことがある。 しかし、 それでも 「コイツらは犯人ではない」と、 容疑者リストから外すことができ、 要因の範囲が絞られる。 そして 「犯人は全く別の所にいる」と、 考え方を切り替える機会になり、 次回は別の要因について実験することができる。 (3) 要因には、 炉の温度やコンベアの速度のように連続的な数値をとるもの (連続因子) と、 作業者・部品メーカー・材質・機械設備のように、 数値的でなくしかも不連続なものがある(層別因子)。 だが、 そのようなことは心配しないで、 [作業者A1・A2] [機械B1・B2] のように水準を設定すればよい。 |
(4) 水準の距離を大きく取れば、 影響力も多く出る。 従って、 日常あり得る範囲内で水準を設ける必要がある。 一方、 影響力が認められたら、 日常あり得ない範囲を選択することによって画期的な成果となる可能性も考慮する必要がある。 (5) 作業者が 3 人の場合はどうするか? 実は 3 水準用の直交配列表がある。 だが多くは 「機械は 2 台で、 材料は 3 種類で、 人が 5 人いて、 おまけに夜勤と昼勤の 2 交代だ」 という具合だ。 だから 3 水準用のものを使っても仕方ない。 その場合には、 熟練者 1 名と経験の浅い人を 1 名選ぶ。 材料も、 最も信頼できるものと怪しいものを選んで 2 水準にしてしまう。 その他、 ケースに合わせて様々な工夫をすることができる。 |
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QCサークル:やさしい入門編
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